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グレのはいはい日記

時間がありすぎて始めました。忙しくなってフェードアウトするのが目標です。

1杯のお蕎麦

小さいこと
高校生の頃、精神疾患で体調を崩して学校にまともに通えていなかったのですが、同時に食事がとれないことがありました。

食べる。という意欲が体から湧いてこないというか、食べる。ことに魅力を感じないというか、今では考えられない感覚が体中にまとわりついていて、カロリー不足でやせ細っていました。

普段は自宅でなぜか制服を着たままごろごろしていたのですが、両親もさすがに心配だったらしく自分達の商売をしてるテナントにわたしを連れて、何でもいいから口にするように勧めた時期があって。

テナントの近くに母が仲良くしているおばちゃんが住んでいて、ある日、顔がこけたわたしを見て「今からお昼のお蕎麦茹でるから、グレちゃんの分も一緒にするわ」と言ってくれました。

メガネがトレードマークのおばちゃんは母からわたしのことを聞いているようで、決して変な目でわたしを見ることはなくにこにこ笑顔で接してくれました。

「おばちゃん、いいよー。何にも食べたくないんよ」
「グレちゃん、食べなあかんよ。がりがりやんかー」何度かやりとりした後、おばちゃんは蕎麦を茹でに自宅へ。

少ししておばちゃんが家の前で「できたよー!おいで!」と手を振ってくれて、しぶしぶ家に上がらせてもらうと、はい。と湯気の立つお蕎麦を出してくれました。

結局、わたしは完食することはできず、麺をちょろちょろ、汁をちょろちょろ頂いて「おばちゃん、ありがとう。今はこれで精一杯やけど、あったまったわ」と覇気の無い声でお礼を言いました。

正直、ごはんを出してもらっても満足に食べられない状態だったけれど、あのお蕎麦にはおばちゃんの優しさがいっぱい詰まっていて、17、8のわたしですら、心の底からありがたいなぁ。と感じました。

おばちゃんにはずっとずっと感謝してるけれど、何だか気恥ずかしい気持ちもあって、何年かに1度顔を見ることがあってもうまく話せません。
でも、何年経ってもおばちゃんとおばちゃんの作ったお蕎麦のことを忘れたことはありません。